フィリーズ名物ファナティックの正体!著作権訴訟と広島スライリーの絆
米大リーグ(MLB)屈指の熱狂的なファン層を抱えるフィラデルフィア・フィリーズ。その本拠地シチズンズ・バンク・パークで、選手以上の歓声を浴びてグラウンドを縦横無尽に駆け回るのが、全身緑色の毛むくじゃらな怪鳥「フィリー・ファナティック」です。三輪バイク(ATV)で爆走し、相手チームのベンチや審判を容赦なく煽るパフォーマンスは、日米の野球ファンの間でも語り草となっています。
しかし、この破天荒な人気マスコットには、日本の広島東洋カープの公式マスコット「スラィリー」との知られざる血縁関係や、一時は姿を消しかけた泥沼の著作権訴訟など、数々のドラマが隠されています。ファナティックの出自から過激なパフォーマンスの裏側、そして推定年俸事情まで、その全貌を徹底取材の視点から紐解きます。
📌 【この記事の重要ポイントまとめ】
- 要点1:ファナティックはガラパゴス諸島出身の架空の生物であり、熱狂的なファンを意味する「Fanatic」が名前の由来。
- 要点2:広島カープの「スラィリー」とは同じ著名デザイナーが手掛けた、いわば日米の兄弟・親戚関係にあたる。
- 要点3:法廷闘争となった著作権問題を乗り越え、現在は推定年俸約60万ドルを誇るMLB人気No.1マスコットとして君臨。
【誕生の秘密】フィリーズのマスコット「ファナティック」の正体と由来
フィリーズのマスコットとして世界的な知名度を誇る怪鳥の正式名称は「フィリー・ファナティック(Phillie Phanatic)」です。公式プロフィールにおける正体は「南米ガラパゴス諸島出身の飛べない鳥のような架空の生物」と設定されています。デビューは1978年4月25日、旧本拠地ベテランズ・スタジアムでのシカゴ・カブス戦でした。
ファナティックが誕生した背景には、当時のフィラデルフィア・フィリーズの歴史と興行面の課題がありました。かつての球団公式キャラクターは、アメリカ独立戦争時代の衣装を着た歴史人形風の「フィラデルフィア・フィルとフィリス」でしたが、子どもたちからの人気は今ひとつ伸び悩んでいました。そこで当時の球団副社長ビル・ジャイルズが、試合の勝敗に関わらず家族連れを楽しませる強烈なキャラクターを求めて新開発を決断したのです。
フィリー・ファナティックの由来は、フィラデルフィアの熱狂的なファンを意味する「Fanatic(ファナティック)」のスペル頭文字を、球団名「Phillies」に合わせて「Ph」に変えた造語です。メガホンのようなラッパ型のくちばし、ふくよかなお腹、そして全身を覆う鮮やかなグリーンの毛並みという唯一無二のビジュアルが完成しました。
【日米の血縁関係】広島東洋カープ「スラィリー」と瓜二つな理由
日本のプロ野球ファンなら、ファナティックを見て広島東洋カープの「スラィリー(SLYLY)」を思い浮かべる人も少なくありません。青緑色のモフモフした体型やコミカルな動き、ラッパ状の口元など、両者の外見は驚くほど酷似しています。
この類似性は単なる偶然や模倣ではなく、「生みの親が全く同じデザイナーである」という明確な事実に基づいています。デザインを担当したのは、映画『セサミストリート』や『マペット・ショー』のパペット制作で世界的な名声を誇るハリソン・エリクソン社(ボニー・エリクソン氏とウェイド・ハリソン夫妻)です。
広島カープが1995年に新マスコットを導入する際、ファナティックの圧倒的な成功実績に注目し、同じ制作会社へデザインを直接依頼しました。そのため、両球団やファンの間でも「ファナティックとスラィリーは日米をまたぐ従兄弟(いとこ)のような関係」として公認され、親しまれています。
【法廷闘争の舞台裏】球団消滅危機?ファナティック著作権問題の真相
長年ファンに愛されてきたファナティックですが、2018年から2021年にかけて、その存在自体が消滅しかねない深刻なファナティック著作権問題に直面しました。
発端は、米国著作権法に定められた「著作権譲渡から35年が経過すると著作者側が権利解除を請求できる」という規定(35年ルール)です。原作者であるハリソン・エリクソン社が権利の買い戻しと数百万ドル規模の追加補償を求め、交渉が決裂した場合はフィリーズによるキャラクター使用を差し止めると球団に通告しました。
これに対し、球団側は「ファナティックのキャラクター性は、40年以上にわたる球団独自の演出とスタッフの努力によって進化・確立されたものだ」と主張し、2019年に連邦裁判所へ提訴。訴訟中の2020年シーズンには、法的リスクを回避するため「尾羽の色を青に変え、翼の形状やソックスを変更した暫定版デザイン」を導入せざるを得ない事態に追い込まれました。
ファンから旧デザインの復活を求める声が殺到する中、2021年11月に両者は電撃的な和解を締結。球団が正式な権利金を支払うことで合意に至り、2022年シーズンから伝統あるクラシックな姿での完全復活が実現しました。
【年俸と人気】MLBマスコット人気ランキング不動の1位!「中の人」と驚きの待遇
ファナティックは、米国の各種メディアが実施するMLBマスコット人気ランキングにおいて、ニューヨーク・メッツの「ミスター・メット」と並び常にトップ争いを繰り広げる圧倒的な存在です。マスコット界の殿堂入り第1期生にも選ばれています。
そのステータスに比例し、フィリーズのマスコットの年俸はプロスポーツ界でも最高水準に達しています。米スポーツメディアの推定によると、ファナティックの年間報酬は約60万ドル(約9,000万円以上)とされ、各種イベント出演料やCM契約を含めるとさらに莫大な経済価値を生み出しています。
この驚異的なパフォーマンスを支えてきたのが歴代の「中の人(パフォーマー)」たちです。初代を務めたデビッド・レイモンド氏は1978年から1993年までキャラクターの基礎を築き、1994年以降は2代目のトム・バーゴイン(Tom Burgoyne)氏がメインパフォーマーとしてその魂を受け継いでいます。球団公認のアンバサダーとして書籍の出版や講演活動を行うなど、フィラデルフィアの街を代表する著名人として高いリスペクトを集めています。
【過激なパフォーマンス】なぜグラウンドで暴走するのか?名物シーンとファンの熱狂
ファナティックの代名詞といえば、他の球場では見られないアグレッシブな暴走劇です。相手チームのダグアウトの上で奇妙な腰振りダンスを披露したり、審判のお腹を突っついたり、特製バズーカで観客席へホットドッグを乱射したりと、その行動は常に予測不能です。
ファナティックが暴走する理由は、「全米一熱狂的で厳しい」とされるフィラデルフィアのファン気質にあります。プレーに対する要求水準が高く、自チームにも容赦ないブーイングを浴びせる地元ファンを心から楽しませ、球場の空気を一変させるための緻密に計算されたエンターテインメントなのです。
特に有名なのが、かつてロサンゼルス・ドジャースを率いた名将トミー・ラソーダ監督との伝説的な抗争劇です。ファナティックがラソーダ監督の人形をグラウンドで引きずり回し、激怒した監督がマスコットを追いかけ回して殴りかかるというパフォーマンスは、当時のMLB中継における屈指の名物カードとして全米を沸かせました。
【ファン必見】球場限定グッズとフィラデルフィア・フィリーズの歴史
1883年に創設され、同一都市で同一のチーム名を維持し続ける球団としてMLB最古の歴史を誇るフィラデルフィア・フィリーズ。その長い歴史路の中で、ファナティックは単なるマスコットの枠を超え、チームの象徴としての地位を確立しました。
本拠地シチズンズ・バンク・パークのオフィシャルショップでは、多彩なフィリーズのマスコットグッズが売上の大半を占めています。定番のぬいぐるみや首振り人形(ボブルヘッド)はもちろん、ファナティックの顔を模したキャップ、子供用コスチューム、ハイエンドなアパレルまで幅広くラインナップされています。
近年では日本からのMLB観戦ツアーでも「ファナティックの限定グッズ購入」が定番の目的となっており、球場内の特設ショップには世界中から訪れるファンの長い列ができています。
【フィリーズ マスコット】に関するよくある質問(FAQ)
Q1:フィリーズのマスコットの正式名称と正体は何ですか?
A1:正式名称は「フィリー・ファナティック(Phillie Phanatic)」です。正体は南米ガラパゴス諸島出身の架空の大型生物で、熱狂的なファン(Fanatic)に由来する名前が付けられています。
Q2:広島カープの「スラィリー」と関係があるというのは本当ですか?
A2:事実です。どちらもセサミストリートのマペットなどを手掛けた米国のデザイン会社「ハリソン・エリクソン社」が制作しており、公認の親戚(いとこ)のような関係にあたります。
Q3:ファナティックの「中の人」や年俸はどれくらいですか?
A3:現在は2代目のトム・バーゴイン氏らが担当しており、推定年俸は約60万ドル(約9,000万円以上)とMLBマスコット界でもトップクラスの待遇を誇ります。
まとめ:海を越えて愛され続ける緑の怪鳥がもたらす熱狂
強烈なビジュアルと計算されたパフォーマンスでスタジアムを支配するフィリー・ファナティック。誕生から半世紀近くにわたり、著作権トラブルによる存続の危機を乗り越えながら、ファンと共に独自のベースボールカルチャーを築き上げてきました。
日本の広島カープ・スラィリーとの深いつながりも含め、国境を越えてエンターテインメントの真髄を示し続ける緑の怪鳥。シチズンズ・バンク・パークを訪れる機会があれば、グラウンド上で繰り広げられる世界最高峰のパフォーマンスにぜひ注目してみてください。 (出典: フィリーズ マスコット(Yahoo!ニュース))